写真展を見る

朝起きたら、何だか調子がいい。昨日までのメニエルが今朝は治っていました。
というわけで、朝一番で『齋藤康一写真展 昭和の肖像-人物交差点ー』を見に行ってきました。
被写体は東山魁夷、丹下健三、三島由紀夫といった昭和を代表する人々ばかり。おそらく雑誌か何かの企画であったと思われます。
この写真家は1980年代を境に、被写体との関係が一変しています。それ以降は完全に被写体に負けているのです。存在感のある被写体に圧倒され、おずおずとシャッターを切っている様子が目に浮かびます。
多分1980年代以前は他にディレクションする人がいたのだと思います。被写体とともに時代を切り取る「力」というものがありました。
ただこの写真家の決定的な弱点は集中力がないことです。ポートレートのような写真を撮っても、集中力のある写真家のものは、被写体の生き様をちゃんと写し取っています。
残念ながらこの写真家にはそれがありません。

写真家とは因果な商売です。カメラを含めた機材の進化により、もはやハードな部分でのプロとアマチュアの差がなくなってしまいました。
唯一プロのプロたる所以は「構図」と「時間を切り取る集中力」にしかないのです。企画で勝負するのはアマチュアなのです。先日の稲越功一さんの「おんなたちの銀座」は、さしずめ企画倒れといったところです。

以前、浅井慎平さん(ボクはアニキと思っています)がチャック・ベリーを撮るときに「8カット」必要だと言ったところ、チャック・ベリーから「じゃあ8枚だけ撮ればいいんだな」と言われたと本人から聞きました。普通は100枚くらい撮って、その中から8カットを選ぶのです。結局は15枚撮ってその中から選んだと言います。
浅井さんはヒルトン(後のキャピトル)でビートルズを撮ったことで、撮り直しがきかない「瞬間」の勝負を身につけていたことが役に立ったと言います。
そういえばPRビデオのロケに同行した時、夕日が沈むほんの4、5秒のシーンを撮るのに1時間以上待ったことがありました。
撮り直せばいい、と思った瞬間その写真家はアマチュアになってしまうのです。それが実に見事に写真に出てしまいます。

2006年11月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : Singer