翌朝、中国人団体客が闊歩する旧軽銀座で朝食を済ませ、追分宿に車を走らせました。
そこにはかつて文豪が愛した旅館、油屋跡があります。
初めて油屋に泊まったのは三十年以上も前のことです。
当時は一見さんお断りのような雰囲気がありました。
でも部屋の名前を言うと簡単に予約がとれました。
ご主人の小川さんはとても気さくな方で、地元の信濃追分馬子唄保存会の会長をしていて、NHKのドキュメンタリーにも出たりしていました。
ご主人が亡くなってから家業が怪しくなったようです。しばらくして休業となり、そのまま廃業となりました。
空き家状態だったのをどなたかが買い、昨年、NPO法人による油屋プロジェクトがスタートしました。
伺った土曜日はまさにオープン日で、しかもオープンの午前11時に油屋に到着しました。
何というご縁でしょうか。
懐かしくて、あちこち見て回りました。
勝手に入り、「そちらはご覧いただけません」と言われた食堂は、思っていたよりも狭く、でも間違いないくあの食堂でした。
ここの名物は常連客だけが知っている鮎の甘露煮。夕食の風景が蘇ります。
無理を言って二階の部屋を見せていただきました。
胸にせまるものがありました。
