久しぶりで村上春樹を読む

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました。
村上春樹はある時期から読まなくなりました。本当に久しぶりです。

で、感想はそれなりに面白かったです。でも相変わらず読み手の感性に委ねるという手法が強い作品です。
あらすじは既にネットにずいぶん出ているので書きませんが、共感を得やすいシチュエーションではあります。

2013年4月16日 | カテゴリー : art | 投稿者 : Singer

横浜美術館「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」をみた

二人の写真家がどういう人物なのかは個人で調べてください。
その上で、このブログをお読みいただければ幸いです。

はっきり言って、この写真展に感動はありませんでした。
ふたりとも戦争という背景を上手に利用した『単なる』コマーシャル・カメラマンに過ぎないというのがボクの印象です。
彼らが何を伝えたかったのかよく分かりません。

キャパの場合は、戦争という世相の中の庶民を撮った写真が優れています。
例えば空襲警報下の夫人と犬の写真、親ナチスの狙撃に対して広場で身を伏せる市民の写真など、本人も危険を背負った写真は素晴らしいものがあります。
戦争という日常の中で、死と隣り合わせの生活や緊迫感が伝わってきます。
ドイツ兵の子供を産んだフランス人女性が丸刈りにされて、大通りを歩かされている「健全な人々」もアイロニカルです。

恋人であったゲルダ・タローは単に戦争が生み出しているものを撮っている、という印象です。負傷者やら死体やら。。。
キャパもタローも、基本的には戦闘から距離を置いて撮影しています。これは写真を見れば分かります。
有名になるならなりふり構わず、「やらせ」のナンチャッテ写真もあります。
タローが撮影した「崩れ落ちる兵士」は、今はやらせという評価です。撃たれた人間はあんな倒れ方はしないということですし、撮影場所も戦闘が行われたことがないところだそうです。
全く同じ構図で人物だけが違うというのもあります。それって何?

タローが事故死(戦死ではなく)した後、ようやくキャパは戦場に身を置いた写真を撮ります。
「Dデイ」はそのひとつです。ノルマディー上陸作戦に帯同して撮影したもので、ピンぼけですが、緊迫感があります。
併設展で沢田教一の写真が展示されていました。
感動しました。彼こそが戦場カメラマンだと思いました。
戦争という状況下で人間、生命を撮った素晴らしい写真家だったと思います。
本当に戦闘の中に身を置き、その中に「生きる」ということを撮っています。

是非ご自身でお調べいただき、ご覧いただき、ご判断下さい。
あくまでも私見ですから。。。

 

2013年3月23日 | カテゴリー : art, people | 投稿者 : Singer

野村萬斎がボレロで舞う

昨夜、サントリーホールのガラ・コンサートに行きました。
オープニングで、何と野村萬斎がラベルのボレロで舞ったのです。
やられました。
やられましたという感想がぴったりの、素晴らしい企画でした。和と洋が見事にコラボレートした瞬間を目の当たりにしました。
是非もう一度観てみたい。本当に凄かったです。

途中、上原彩子が登場しましたが、何か、痛いという感じの演奏でした。
必死に弾けば弾くほど、痛さを感じるのです。スコーンと限界を跳び越える演奏を期待できないような必死さなのです。
チャイコフスキー国際コンクール の優勝がトラウマになっているのかも知れません。
あれはYAMAHAの裏工作というのは世界の常識ですし、もっと楽に弾けばいいのにと思います。
そう言えば上原彩子とともにヴァイオリン部門で2位になった川久保賜紀はどうしているのでしょうか。個人的には注目していたのですが、彼女もまた空回りしています。

終演後、司会を務めたYNに挨拶に行ったら、「また武ちゃんに行こ?」と言われてしまいました。
武ちゃんとは銀座の焼き鳥屋なのですが、まぁ3時間半の本番の後によくそういう台詞が出てくるなぁと、そのタフネスさに感心しました。
さすが女優は体力勝負です。

2012年10月7日 | カテゴリー : art, music | 投稿者 : Singer

尾上松緑

昨夜、尾上菊五郎の義経三本桜を観ました。
菊五郎、時蔵、松緑、菊之助、團蔵などが出演、興味深い舞台でした。

松緑がひどかったですね。
彼は恐らく機能性構音障害で、普段の会話でも「さ行」「た行」の発音が悪いのです。俗に言う舌足らずというやつです。それが台詞回しにもそのまま出ています。
身体的な欠陥とはいえ、歌舞伎役者にとっては致命的です。
三幕目の河連法眼館の段で、松緑は狐忠信を演じたのですが、これがまた最悪でした。
動きが激しいせいか、途中から声が出なくなり、発音の悪さが気になりました。

先々代の松緑は、先代世団十郎(現世団十郎の父)、先代幸四郎(幸四郎、吉右衛門の父)の弟であり、三兄弟はいずれも声のよさ、台詞回しのよさで知られています。
松緑の長男、初代辰之助もまた、天才的な歌舞伎役者でした。
とにかく声が良かった。
ボソボソっと言う台詞が、客席の最後列でも聞こえました。
その初代辰之助の息子が今の松緑です。

かつて今の団十郎の襲名興行のプログラムの中で、先々代松緑(今の松緑の祖父)は団十郎の口跡の悪さについて書きました。
叔父としては、どうしても言っておかねばならなかったのでしょう。
何とも皮肉ではあります。

ところで時蔵の息子、梅枝が静御前を演じたのですが、きれいでした。時蔵と違い、鼻がスッとしています。
時蔵は気の毒なくらい萎れていました。

2012年7月8日 | カテゴリー : art | 投稿者 : Singer

3丁目の夕日’64を3Dで見る

ネットで見る限り、あまり評判は良くなかったのですが、とりあえず見ないと話にならないので、映画の日の今日、スカラ座で鑑賞してきました。
これは飛び出す絵本の類です。飛行機とかトンボとか、うわぁっと飛び出してくるような映像は結構迫力があるのですが、人物は浮き出て見えても、基本的にはフラットなのです。立体ではありません。まさに飛び出す絵本そのものです。紙の絵がポンと立ち上がってくる、あれです。
何故、人間の目は立体感を感じるのか考えてみました。多分、光の陰影を感じて奥行きや立体を感じるのではないでしょうか。人の頭を見たときに、正面と横側の光の当たり具合の、微妙な違いを、人間の目が感知して、脳で立体像を結んでいるのではないでしょうか。これは帰りの電車の中で、前に座っている人の頭を見て感じたことです。
ところがフィルムの映像は色温度で発色させるため、色温度が違うと違う色になってしまいます。ですから照明を四方八方から当てて、むしろ陰影を少なくしてやらないと色が不自然になってしまいます。だから人間の目で見て、脳の中で像を結んでもフラットなのだと思います。むしろアニメショーンやCGの方が色を加工して陰影を出せるので、実写より立体感を出しやすいかも知れません。アニメやCGものは見たことがありませんので、あくまでも想像の域を出ませんが。

ストーリーは、どうってことありません。64年の風俗もほとんど描かれていません。3Dだけがウリの映画でしょう。
ちなみに観客の年齢層は高そうでしたが、つまんなそうでした。

2012年2月1日 | カテゴリー : art, joy | 投稿者 : Singer

小説家の凄さ

以前、ヨット競技のPRをやったことがあります。当時(社)日本外洋帆走協会長だった石原慎太郎に、日刊スポーツの記者がインタビューをした棒起こし(テープの会話をそのまま原稿にしたもの)を読んだことがあります。「そうだな」とか「う~ん」といった語句を除くと、そのまま記事に出来るほど、話し言葉=原稿になっていて、びっくりした記憶があります。グアム沖のレースで、天候が急変し落水が相次ぎ、彼自身の判断でレースを棄権したと言う内容でした。レースは中止になりましたが、死者が出るレースだったそうです。状況を的確に判断し、棄権するというのも艇長の重要な判断だというような内容だったと思います。記事は記者がほとんど手を入れることなく、しかもドラマチックな文章として掲載されました。
小説家、というか文筆家って凄いなと心底思いました。
その石原慎太郎が芥川賞の選考委員を下りるそうです。最近の候補作は駄作のオンパレードだそうです。
なんか分かるような気がします。

http://fabillage.com/singerblog/?p=2128

2012年1月18日 | カテゴリー : art | 投稿者 : Singer

テンション低いまま山本容子さんに会う

月曜日あたりからふらつきがひどくなり、水曜日は最悪の状態でした。
この日から銀座三越で山本容子展があり、招待状を頂いていたので気分転換を兼ねて夕方出掛けてみました。
以前とは大分作風も変わり、作品数も多かったのでちょっと疲れました。
ちょうど帰り際に山本さんが来ていて、ただボクのテンションが低かったので目礼だけで帰ろうと思ったのですが、何となく話すことになってしまいました。ボクのせいで会話があまり弾みませんでした。久しぶりに会ったというのに、です。
人間未熟で反省です。

雨の休日は気分的に落ち着きます。ただ今度は両足に浮腫がきています。やれやれ、です。

2010年9月23日 | カテゴリー : art, people | 投稿者 : Singer

スカイツリーって美しい?

オフィスから見えるスカイツリー


スカイツリーを見たいという友人がいて、ちょっとスカイツリーについて考えてみました。
実はボクのいるオフィスの窓から見えるのですが、全く興味がありませんでした。
というか、あの田舎臭さには我慢が出来ず、ひたすら無視し続けてきたというのが本当のところです。
美しくない!
これがボクの印象です。所詮あの東武鉄道がデベロッパーで、デザイン監修が安藤忠雄です。
美しさを期待する方が無理というものです。どんなに日本古来のデザインにインスパイアされようとも、出来上がったものが美しくなければ意味がありません。プレゼンは上手だけれど、の類です。
大体安藤忠雄の建築で「美しいもの」ってありました?
ゴチャゴチャ能書きは大したものですが、美しいものはありましたか?
スカイツリーよりもドバイのブルジュ・ハリファの方がどう見ても美しい。
まぁ田舎臭い東武鉄道と安藤忠雄では推して知るべしでしょうか。

2010年8月15日 | カテゴリー : art | 投稿者 : Singer

ACACIA(アカシア)を観た

先週、辻仁成が監督した映画『ACACIA』を観ました。ITOCIAにあるヒューマントラストシネマという映画館です。
2スクリーンで162席と63席の小さな映画館です。ACACIAは62席の方で上映されていて、16:30の回ということもあり、15名ほどのお客しか入っていませんでした。

映像としての構成が全然ダメでしたね。プロとアマチュアの差です。監督は別の人に任せるべきでした。
もっとも、この映画は辻仁成が南果歩との間に生まれた息子ために作ったというようなことを何かの対談で言っていましたから、それはあり得なかったのでしょうけれど。

作品のレベルとしては駄作でしょう。
ただ林凌雅という子役がすごく良かったです。それにアントニオ猪木の存在感。どんなに屈強な人間も老いていくのだということが映像的に良く描かれています。死んだ息子を思い出して号泣するシーンは素人とは思えないくらいの演技でした。

それから持田香織のテーマ曲が良かったです。辻仁成の作詞作曲ですが、エンディングでしか流れませんでした。音楽の力をもっと信じなくてはいけません。映像と音楽、映画はテレビと違って、このふたつの要素を大きな味方にすることが出来るのに、残念なアプローチでした。

ミッキー・ロークの「レスラー」のパクリだと言う人がいますが、制作時期はほぼ一緒です。2008年の6月にクランクインしていますから。でも公開まで1年以上かかったのは何故ですかね。

ちょうど水曜日でしたので、1,000円で鑑賞することが出来ました。
仕事ですか?
忙中閑は自ら作りましょう!

2010年6月27日 | カテゴリー : art, joy | 投稿者 : Singer

RAILWAYS

試写会でRAILWAYSという映画を観ました。脚本が今ひとつで残念な仕上がりとなっています。
しかし主演の中井貴一をはじめ、キャストはそうそうたる顔ぶれで、演技も素晴らしかったです。
特に奈良岡朋子の演技には感動しました。

こういう家族の絆、特に夫婦の絆を描くのがはやりなのでしょうか、今年公開された「今度は愛妻家」という映画もそうでした。
こちらは面白かったですね。特に石橋蓮司のオカマは秀逸でした。そのセリフもこれまた抱腹絶倒。さすが伊藤ちひろの脚本という感じです。
こちらの映画はオススメです。今回観たRAILWAYSはそのうちテレビでやるでしょうから、その時で十分でしょう。

2010年5月26日 | カテゴリー : art | 投稿者 : Singer